訪問看護の遣り甲斐

訪問看護の遣り甲斐

数年前から訪問看護を辞めて孫の面倒をみるようになりました。
毎日の時間がゆったり流れて行きます。
訪問看護で毎日バタバタと移動とケアを繰り返していたのが嘘のようです。
退職直後、もう患者様達とはお会いする事も無いのだと思うと無性に寂しくなりました。
そんな時、事業所から一本の電話がかかってきました。
私が辞めた後、私を気に入って下さっていた患者様から事務所に電話がかかってきて「どうしても もう一度会いたいので連絡先を教えて欲しい」と言われたそうです。
それで私の連絡先を教えて良いかとの事でした。
訪問看護の仕事は一般家庭にお邪魔して行う仕事なので退職後は仕事で知り得た事は口外してはしてはいけないとか、いろいろの規定があります。だから、退職後にまた患者様のお宅に伺う事は無いと思っていたので事業所からの連絡があった時には驚きました。
せっかく会いたいと言って下さるのですからお断りする理由はありません。
後日、そのお宅から連絡があってお邪魔する事になりました。
ちょっとした手土産を持って行ったのですが、ご家族で大歓迎を受けました。
少し神経質なところがあって難しい方だったのですが、新しい看護師さんとも仲良くされていると聞いてほっとしました。体調の話、趣味の絵や音楽の話、お孫さんの事、話は尽きませんでしたが、あまり長くお邪魔してもお疲れになるだろうと思い、適当なところで引き揚げる事にしました。その際、またの再会を約束して、望まれるまま携帯の電話番号もお知らせして、いつでも電話してくださいとお話したのですが、その後は私も雑事で忙しく、電話がかかって来ない事を気にしながらも時は過ぎて行きました。
その後、私とほぼ同時期に辞めたスタッフと再会してお互いの近況報告をました。
彼女は私の半年後に事業所を辞めていて、現在は別の施設で働いているとの事で、私が辞めてからの患者様の状況をいろいろ教えてくれました。
驚く事に、私が主に担当していた患者様の大半は訪問中止になっていたのです。ご本人が入院されていたり、亡くなったり。介護されていたご家族が体調を崩して急遽施設に入所された方もいらっしゃいました。そして、最後にお会いしたあの患者様は、私がお宅に伺って数ヵ月後に体調を崩されて入院されたと聞きました。
何故、すぐに連絡を取らなかったのかと悔やんだのは言うまでもありません。

ご家族にすれば私に気を使わせまいとの遠慮があったのでしょう。
今となってはどうしようもありませんが。
訪問看護を辞めた今でも、たまに用事で当時 訪問していた患者様のお宅の近くを通りかかる事があります。
そんな時、訪問していた当時の事が思い出されて、懐かしく、ちょっと切ないような複雑な気持ちになります。
もうお会いする事はありませんが、お元気でいて下さると良いなと