訪問看護の際のアクシデント

訪問看護のアクシデントの対応

訪問看護の移動に使っている車には職員と看護学生以外は乗せてはいけない事になっています。それは、乗車中に不測の事態が起こった場合に賠償責任等の問題が起こる恐れがある為です。それを知ったのは訪問看護の仕事について間もない頃の事でした。
看護学生の実習が始まっており、毎日学生を同行して訪問先を回っていました。

 

ある日、1人の学生が昼食介助の見学をしたいと言うので、訪問先まで送って行く事になりました。私はその日、午前中で仕事を終える事になっていたので、帰り際に学生を自分の車に乗せて訪問先に送って行く事にしました。ケアをするスタッフは先に訪問先で待機しているとの事だったので、学生を玄関先まで送り届けてスタッフに声をかけ、帰ろうとした時、スタッフから「入ってきて」と言われ部屋に入りました。
そこには外出したはずのご主人がうずくまっておられました。

 

なんでも、外出先で強い腹痛に襲われて戻って来たとの事でした。受診を勧め、タクシーを呼ぼうとしても「すぐ治るから」「タクシーなんか乗らない」と激しく拒否されるのですが、痛みは治まる気配も無く、困っているとの事でした。彼女も寝たきりの奥さまのケアがあるので家を空ける事ができない状況です。
ここは、私が対処するしかないと考えて「受診してください」と半ば強引に車に乗せて近所の医院へ向かいました。そうなるとご主人も観念したようで、どうせなら主治医のところへ行きたいと希望され、少し離れた病院へ向かいました。そこでの診察の結果、腸閉塞の疑いとの事で、公立病院を紹介され、そのまま公立病院まで送る羽目に。
全て終わった時は午後2時を回っていました。ケアマネをしている所長に連絡して経過を報告し、今後の対処をお願いして帰途に着きました。
翌日、ご主人は数日入院となり、奥さまは午後からショートステイに入所になったと聞きました。ご主人も大事には至らずに済んで経過も順調との事で胸をなでおろした時、施設長から注意を受けました。就業後に自家用車でご家族を移動させたのは問題だと言うのです。不測の事態があった場合に訴訟になる恐れもあると。
今回の事例ではタクシーを嫌がるなら救急車を呼ぶのが正解だそうです。その場に居合わせたスタッフは「あの場合は、救急車なんて呼んだらご主人、絶対怒ったと思う」と、言ってくれました。確かに軽率な行動だったかもしれませんがあの場面ではあれが最善だったと思う自分もいます。

 

また、ある時、独居の患者様が体調を崩した際、ケアマネである施設長からタクシーで病院へ受診に行くよう指示され、患者様に聞きながらお金をかき集めてタクシーを呼んで受診した事もあります。その患者様はそのまま入院となったので2km余りの帰り道は1人で歩いて帰りました。訪問の車を使わせてもらえるならお金をかき集める事もタクシーを待つ事も歩いて帰る事もなかったと思うと不条理にも感じますが、ルールを守るって大変なんですね。